お尻から血が出てビックリのあなた!
便をした後、お尻をふいた紙に血がついていた!
便をした後、便器が真っ赤な血でドキッとした!
このような経験が一度でもある人に是非、知ってもらいたい大切なことがあります。
トイレで、お尻から出血、「大変な病気なんじゃないか?」
と不安になってしまいますよね。
その不安を安心に変えるために、血便の原因と対策についてお話します。
血便の原因は多岐にわたり、素人判断は危険。
お尻からの出血に関して、消化器内科専門医が詳しく解説します。
状況によって1分1秒を迫られるときもあれば、ちゃんと検査をして安心できるケースもあります。
お一人で悩まず、ぜひ今回の記事を読んでいただき、
安心するために一度検査を受けませんか?
☆代表的な症状と考えられる病気を挙げます。
◎血便+腹痛 ⇒ 大腸がん、虚血性腸炎、感染性大腸炎、炎症性腸疾患、胃・小腸からの出血
◎血便+肛門痛 ⇒ 痔出血
◎血便のみ ⇒ 大腸がん、大腸憩室出血、炎症性腸疾患
☆ケース1(虚血性大腸炎と大腸がん)
62歳の女性。
前日夜、寝ていると急に左下腹部が痛くなり、トイレに行くと真っ赤な血便が!
心配になり、私が以前勤務していた病院を受診されました。
腹部CT検査と血液検査を施行したところ、軽度の貧血と左側の大腸(下行結腸)の粘膜が腫れ上がり、周囲に炎症も認めました。
消化器内科の教科書的には『急な腹痛と血便は虚血性大腸炎だ!』となります。
実際にCTと血液検査の結果も虚血性大腸炎に典型的なものでした。
血便量が多く、腹痛の症状も強かったので、大腸を休めるために入院されました。
幸い絶食・点滴治療で症状は治まったのですが、後日念のため大腸カメラ検査を行うことにしました。
すると、確かに虚血性大腸炎の治った痕(あと)はあったのですが、そのすぐ隣に進行大腸がんもあったのです。
大腸がんは異常な血管が発達するため、近くにある正常な大腸粘膜への血液を奪ってしまうことがあります。その結果、大腸がんのすぐ隣に虚血性大腸炎が起こったのでした。
実はよくよくお話を聞くと、数ヶ月前にも『腹痛と血便』があって別の病院に行ったけど、虚血性大腸炎の診断で絶食治療をして、大腸カメラ検査はしなかったということでした。
『腹痛と血便があったから虚血性大腸炎だ!』と決めつけずに、必ず大腸カメラ検査を受けて頂くことが重要だと感じた一例でした。
☆ケース2(痔と大腸ポリープ)
58歳の男性。
30歳代から排便時にお尻が痛く、ティッシュに血が付くことが時々あり痔だと思っていました。家族に大腸カメラ検査を受けるように勧められていましたが、面倒だから受けていませんでした。しかし大腸がん健診の便潜血検査で陽性になったため仕方なく受診。便潜血陽性や血便があった場合に行う詳しい検査である大腸カメラ検査を受けました。
大腸カメラをすると確かに痔はあったのですが、それ以外に大腸ポリープを3個認めました。その場で大腸ポリープ切除術を行い、良性か悪性かの診断をするために病理組織検査を行いました。検査の結果、そのうち2個(5mm大と7mm大)は良性のポリープ(腺腫)でした。しかし、残りの1個(10mm大)は悪性の早期大腸癌でした。
結果的に大腸カメラでポリープをすべて取り除くことが出来ましたが、検査のタイミングがもう少し遅ければ外科手術が必要になっていました。少しでも異常があれば不安を安心に変えるため、一度当院を受診下さい。
当院では経験豊富な内視鏡専門医が大腸カメラ検査を行います。眠りながら、苦痛の少ない大腸カメラ検査を提供できるように精進しています。検査で大腸ポリープを発見した場合は、その場でポリープ切除が可能です。
また高次医療機関での治療が必要な場合は、連携医療機関(大阪公立大学医学部附属病院、大阪赤十字病院、八尾市立病院、八尾徳洲会病院、若草第一病院等)に適切にご紹介致します。
大腸がんは、大腸(結腸や直腸)にできるがんです。日本人の死亡者数第2位が大腸がんです。特に女性は大腸がんが死亡者数1位となっています。
40歳以上の方が発症することが多く、特に50歳を過ぎるとリスクが高くなります。
最近では若い方でも増加傾向にあります。
また良性の大腸ポリープ(大腸腺腫)は時間が経つと大きくなり、悪性化して大腸がんに変化することが分かっているため、早期発見・早期治療をすることでリスクを減らせます。
(大腸がんの約90%が大腸ポリープから発生すると言われています。)
初期の大腸がんはほとんど症状が出ませんが、進行すると次のような症状が現れます。
大腸がんを診断するためには、いくつかの検査が行われます。
定期的な大腸カメラ検査によるポリープの早期発見・除去が、悪性化のリスクを減らす重要な方法です。
また大腸がんは早期に発見し、適切に治療することで良好な予後が期待できる病気です。
症状がなくても定期的に検査を受けることをお勧めします。
症状が続いたり、重症化した場合は早めの受診が重要です。
私たちの体と同様に、大腸も正常に機能するために酸素や栄養を必要とします。ではどのように酸素や栄養を受け取るのでしょうか。それは動脈という血管から供給されます。
虚血性大腸炎は、大腸に酸素と栄養を供給する血管が狭くなったり、閉塞することで十分な量の血液が届けられず(専門用語で虚血と言います)に起こる病気です。酸素や栄養が十分に届かないと、大腸の粘膜が炎症を起こします。軽症であれば大腸の内側(粘膜)がただれたり、重症な場合は腐ってしまう(壊死)こともあります。
典型的な症状は腹痛と血便です。
虚血性大腸炎は血液が悪くなって起こりますが、その元の原因は何でしょうか?
虚血性大腸炎は、大腸を栄養している血液が不足することで起こる病気です。症状としては腹痛や下血、下痢があります。症状や重症度により治療法が変わります。症状が続いたり、重症化した場合は早めの受診が重要です。
痔出血とは、肛門近くにある血管が傷つき、出血が起こる状態です。
トイレで排便時に鮮やかな赤色の血が出ます。また、肛門周囲の痛みやかゆみを伴うことも多いです。大量の出血や持続的な痛みがある場合、重篤な状態の可能性があります。
肛門鏡検査や大腸カメラ検査を行い直接確認します。
大量に出血したり、痛みが強い場合は痔の治療を行います。
しかし、血便の原因を長年痔出血だと思っていた方が、大腸カメラ検査を行った結果、大腸がんを認めたという方もいます。痔以外の他の病気が隠れていないかを一度大腸カメラ検査で詳しく検査することが重要です。症状が続いたり、重症化した場合は早めの受診が重要です。
大腸の壁に小さな袋状の部屋(憩室)ができ、その憩室から出血することがあります。
憩室は高齢者や便秘の方に多いですが、若い方にも発生することがあります。
突然の血便で発症することが多いです。出血量は多く、めまいや立ちくらみといった症状が出ることがあります。重症の場合は出血多量でショック状態(血圧が下がる)になることもあります。また腹痛は伴わず、無痛のことが多いです。
憩室内の血管が破れて出血します。便秘や高血圧、血をさらさらにする薬(抗凝固剤や抗血小板薬)を飲まれている方はリスクが高いです。
大腸憩室出血は大量に出血することが多いため、貧血で倒れることもあります。
痛みが無いことが多いのですが、命に係わる場合もあるので、症状が続いたり、重症化した場合は早めの受診が重要です。
細菌やウイルスに汚染された食品を摂取することで発症します。
下痢・腹痛から始まり、血便も伴うこともあります。
病原性大腸菌、サルモネラ、カンピロバクターなどの病原体が原因で血便が出ることが多いです。感染性大腸炎は適切な予防と治療で重篤な合併症を避けることができます。しかし症状が続いたり、重症化した場合は早めの受診が重要です。
慢性的な炎症が腸に起こる自己免疫性疾患です。症状は主に下痢・腹痛・血便です。大腸カメラ検査で大腸内を直接観察して粘膜異常の有無を診断します。CT検査、血液検査などを行うこともあります。治療は食事療法・薬物療法・手術療法などがあります。
症状が続いたり、重症化した場合は早めの受診が重要です。
胃・十二指腸・小腸からの出血の場合は、黒っぽいドロッとした便(タール状便)が出ることが多いですが、大量に出血している場合は、赤い血便が出ることもあります。
症状が続いたり、重症化した場合は早めの受診が重要です。
たけだ内科・消化器クリニック
院長 武田翔伍
【資格】
医学博士
日本内科学会 総合内科専門医・認定内科医
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
日本消化器病学会 消化器病専門医
日本糖尿病協会 糖尿病認定医
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